退職ー保険証②

退職後の保険証がどうなるのか、1つ目の選択肢は国民健康保険・国民年金に入る方法でしたね。

それでは2つ目の選択肢、任意継続被保険者となる方法です。

任意継続被保険者とは、これまで加入していた保険、

(協会けんぽ、なら協会けんぽ、健康保険組合なら健康保険組合)に引き続き加入する制度です。

ただし、全ての社会保険加入者が選べる訳ではありません。

 

その要件は、

(1)資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること。

(2)資格喪失日から「20日以内」に申請すること。

という2つです。

 

資格喪失日、という言葉が少し難しいので、

被保険者期間について不安であれば保険者(協会けんぽなど)に確認してみましょう。

また、手続きに期限がありますので、決断は早めにしなければなりません。

 

これまでどおりの保険ならば任意継続被保険者を選ぼうか、

と思った方は少しお待ちください!

お仕事をしていたときの保険料は、会社と折半で支払っていましたが、

退職後は会社が払ってくれることが無くなり、

保険料はこれまでの健康保険・介護保険料の2倍になるのです。

※上限額があります。詳細は保険者にお問合せください。

 

これまでの保険料の2倍の金額を支払ってでも、

任意継続被保険者になるのはどんな方でしょうか。

 

基本的には、扶養者がいる方でしょう。

国民健康保険には扶養の考えがありませんので、

お子様も含めて全員の分の保険料を支払わなければなりませんが、

社会保険には扶養の制度がありますので、

配偶者様やお子様がいる場合には任意継続被保険者を選ぶ方がいます。

 

どちらが良いのかは退職するときに考え、決めなければなりません。

なお、任意継続被保険者を選択した場合にも、

厚生年金に加入することはできませんので(年金制度には任意継続被保険者の制度がありません。)、

国民年金の手続きは必要となります。

※60歳未満の方のみ。

 

また、任意継続被保険者を選択し手続きをした場合、

保険証は即日発行という訳にはいかず、

原則として会社で退職手続きが行われてから保険証が発行されますので、

しばらく手元に保険証がない状態となることが多いようです。

(※在職中の保険証が引き続き使用できる訳ではなく、新しく任意継続被保険者の保険証が発行されます。)

 

手元に保険証がない場合でも、病院を受診することは可能です。

病院によって異なりますが、多くの病院では、一旦治療費やお薬代の全額を支払って、

保険証を病院で確認してから返金を受けることとなるでしょう。

 

いかがでしたでしょうか。

病院に定期的に通院している方は保険証についての不安もあると思います。

国民健康保険の保険証は原則即日発行、

任意継続被保険者を選択する場合で手元に保険証がない場合でも

無保険ではありませんので、

心配事が少しでも晴れたら良いなと思います。

 

…えっ 保険料が心配ですって?

国民健康保険を選ぶ場合には、

保険料の相談もできるかもしれません。

ご不安な方は市区町村役場の窓口で

保険料の減免制度の適用が受けられないか、

あわせて相談してみましょう。

 

それでは次は番外編で、退職後に保険証を使うとどうなるのかを少し記載したいと思います。

 

※この記事は2022年7月現在の法律に基づいて記載しています。

退職ー保険証①

退職時に気になること2つ目は、保険証がどうなるのかです。

 

既に75歳以上などで後期高齢者の保険証をお持ちの方は、

引き続き後期高齢者医療制度の対象となりますので心配はいりません。

また、労働時間が短く、会社で社会保険に加入していなかった場合にも、

これまでと変わりないため、問題はないでしょう。

 

会社の名前が記載された「協会けんぽ」や「健康保険組合」の

保険証を持っている場合、どうなるのでしょうか。

 

まず、退職したら、これまで手元にあった保険証は

会社に返却しなければなりません。

退職日まではその保険証を持って病院に行くことができますが、

退職日の翌日からはその保険証を使うことはできないのです。

(※病院では、退職している人なのかどうかはすぐには分からないため、

治療を受けるときには保険証を使って治療を受けてしまうこともできますが、後々分かってしまいます。)

 

すぐに次の会社で働くことが決まっている方は、

次の会社で新たに社会保険に加入すれば良いでしょう。

 

では、退職後、次の仕事が決まっていない場合など、

社会保険に加入する予定がない場合、どうなってしまうのでしょうか。

 

…安心してください。

日本は国民皆保険の国ですので、無保険とはなりません。

 

退職したら、2つの制度から選ぶことになります。

 

まずは1つ目です。

1つ目は、国民健康保険・国民年金に加入する方法です。

年金制度は、社会保険に加入してお仕事をしている方は

原則として70歳未満であれば厚生年金に加入することとなりますが、

社会保険に加入していない場合、

いわゆる国民年金の対象となった場合には、60歳未満の方が加入の対象となります。

 

つまり、60歳以上70歳未満の方で厚生年金の保険料を

毎月給与から天引きされていた方は

退職すると原則として年金の保険料を払うことはなくなります。

この場合、国民健康保険のみに加入することになります。

 

国民健康保険・国民年金の加入手続きは、

お住まいの市区町村役場で行います。

そのときに、会社を退職し社会保険の対象でなくなったことの

証明書を求められることがありますので、

必要書類は事前に確認しておきましょう。

市区町村役場の窓口で退職の確認がとれれば、保険証は即日で発行してもらえるでしょう。

 

保険証が国民健康保険にかわっても、

病院の窓口で負担する金額割合に変更はなく、原則3割負担です。

 

国民年金は所得の多い少ないに関わらず一律の金額ですが、

国民健康保険料は前年の所得金額に応じて決まりますので、高いと感じる方も多いようです。

 

長くなってしまったので、2つ目の選択肢は次の記事で記載します。

先にご紹介すると、2つ目の選択肢は、任意継続被保険者となる方法です。

国民健康保険とは保険料の金額が異なりますので、ご自身で選ばなくてはなりません。

 

※この記事は2022年7月現在の法律に基づいて記載しています。



退職ー失業保険編④まとめ

それでは 失業保険のまとめです。

 

①失業保険がもらえるかどうか確認する。

1.雇用保険に加入しているかどうかを確認。

その方法は、

・給与明細から雇用保険料が引かれている

・ハローワークで確認する

2.雇用保険に加入している期間が一定以上あるか確認。

・自己都合退職:過去2年間に12ヶ月以上、雇用保険に加入

・会社都合、正当な自己都合:過去1年間に6ヶ月以上、雇用保険に加入

※離職日から遡って、お給料のもととなる日が11日以上ある日を1ヶ月と数える

 

②どのくらいの期間もらえるのか確認する。

1.退職時、65歳未満の方

・自己都合退職:90日~150日

・解雇など:90日~330日

2.退職時、65歳以上の方

一時金で30日分又は50日分

※1日の金額は離職票をもとに、退職時の給与の45~80%程。

 

③注意点

・65歳未満で老齢年金を受給している方は併給ができない。

(年金が一旦停止される。詳細はお近くの年金事務所にご相談くださいませ。)

・社会保険の扶養の要件の「130万円」「180万円」には、失業保険の金額もカウントされる。

なお、課税所得には含まれません。

 

 

いかがでしたでしょうか。

4回にわたっていわゆる失業保険について、お届けしました。

失業保険の受給に必要な期間、雇用保険に加入しているかどうかで

もらえるもらえないが変わったり、もらえる期間が変わったりしますので

参考になりますとうれしいです。

 

さて、次は「保険証はどうなるの?」をお届けします。

 

※この記事は2022年7月現在の法律に基づいて記載しています。

退職ー失業保険編③

雇用保険の加入期間が6ヶ月又は12ヶ月以上ありそうだ!

ということが分かれば、気になるのは失業保険の金額です。

 

失業保険編②でもお伝えしましたが、

離職理由と雇用保険に加入していた期間の長さによってもらえる期間が異なります。

また、金額はもらっていたお給料の金額によって決まります。

 

これは退職時に離職票と一緒にもらえる、ハローワークから出ているパンフレットの一部です。

厚生労働省 「離職されたみなさまへ」より

 

金額はこちらをご確認ください。

ハローワークインターネットサービス 「基本手当について」より

 

65歳未満で退職した方の場合、失業保険は、失業している日いちにちいちにちに対して受け取ることになります。

(実際には、まとめて支払われます)

6月1日は失業しているので働いていたときのお給料1日分の額の約80%の金額がもらえて、

6月2日はお仕事をしてお給料をもらっているのでこの日については失業保険はもらえなくて、、

といったイメージです。

 

退職した時点で65歳以上の方については、上記のようにいちにちいちにちについて失業しているかは確認しません。

離職の日以前1年間に雇用保険加入期間が6ヶ月あれば30日分、1年あれば50日分の一時金を受け取るのです。

(※雇用保険に加入している期間のうち、お給料のもととなる日が原則11日以上あることが必要です。)

なお、上限下限はありますが、この「30日分」、「50日分」はお給料1日分の50~80%を1日分として計算します。

 

どうでしょうか。

失業保険を実際に受け取った方には、

「想像していたよりも多くもらえた」といった声も聞いたことがあります。

失業保険は所得税などの課税所得には入らない、いわゆる「非課税」のものです。

ただし、65歳になるまでの老齢年金を受給している方は雇用保険の失業給付とは併給ができないことや、

いわゆる社会保険(健康保険、厚生年金保険)の扶養の基準である「130万円」には

失業給付の金額も入ってしまうので注意が必要です。

 

長くなりましたが、

次の記事でまとめを確認してみましょう。

 

※この記事は2022年6月現在の法律に基づいて記載しています。

退職ー失業保険編②

雇用保険料がお給料から天引きされていて、雇用保険に加入していることが分かったら。

次に確認するのは、離職理由です。

会社都合の退職なのか、自己都合の退職なのか、、自己都合の退職の中でも正当な理由のある自己都合の退職なのか。

 

会社都合とは、いわゆる倒産や解雇などのことです。

倒産は実際に会社が破産手続きを開始したときのほかに、

事業所の移転により通勤が往復4時間以上となったというような「通勤が困難となった場合」なども該当します。

解雇は解雇された場合のほかに、毎月のお給料の一定以上の額が期日までに支払われなかった場合や、

長時間の残業が続いた場合なども該当します。

正当な理由のある自己都合とは、体力不足、父母の病気の扶養をするためなどの家庭事情の急変などが該当します。

 

この離職理由が会社都合の退職や、正当な理由のある自己都合の退職の場合、

雇用保険の加入期間が短くてもいわゆる失業保険を受けることができます。

 

通常、離職日から遡って過去2年間に12ヶ月の雇用保険加入期間が必要ですが、

上記の会社都合の退職や、正当な理由のある自己都合の退職の場合、

離職日から遡って過去1年間に6ヶ月の雇用保険加入期間があれば、

失業保険を受けることができるのです。

 

そして、失業保険を受給できる期間も離職理由によって異なるのです。

 

…だんだん難しくなってきましたね。

離職理由の詳しい判断は下にPDFを記載しますが、詳しくはハローワークで確認すると良いでしょう。

 

いちばん一般的な、いわゆる一身上の都合による退職の場合には、

離職日から遡って過去2年間に12ヶ月の雇用保険加入期間があれば対象となるでしょう。

この、「12ヶ月」の基準も、離職日から過去に向かって1ヶ月ずつ区切った期間に

お給料の基礎となる日が11日以上あるかどうか等で1ヶ月、2ヶ月…と

数えていきますので少し注意が必要です。

(「3日間しか働いていなくて、3日分しかお給料が出ていない月」などは

1ヶ月の雇用保険加入期間とはカウントできないのです。)

 

雇用保険の加入期間を満たしていそうだ、という方、

それでは次の記事で

どのくらいの期間、どのくらいの金額の失業保険が

もらえるのかを確認していきましょう。

 

厚生労働省 「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」より

000931439.pdf (mhlw.go.jp)

 

※この記事は2022年6月現在の法律に基づいて記載しています。

 

 

退職ー失業保険編①

それではまずは気になるお金について、失業保険についてみていきましょう。

 

失業保険という名前を耳にしますが、

正式には、雇用保険の失業等給付の中にある「求職者給付」という制度です。

…説明が長いですね。笑

でもハローワークの資料で「求職者給付」として案内されていますので、

覚えておくと良いかなと思い記載しました。

 

このページでは、求職者給付の中でも、「基本手当」と「高年齢求職者給付金」の説明を行います。

 

なお、「基本手当」、「高年齢求職者給付金」以外の制度としては、

短期特例被保険者と呼ばれる方が該当する「特例一時金」、

日雇労働被保険者と呼ばれる方が該当する「日雇労働求職者給付金」というものがあります。

 

「基本手当」と「高年齢求職者給付金」の違いは、退職時の年齢です。

退職時65歳未満であれば基本手当、退職時65歳以上であれば高年齢求職者給付金の対象となります。

 

それでは「基本手当」、「高年齢求職者給付金」が受け取れるかどうか、確認してみましょう。

まずは雇用保険に加入していることが前提です。

雇用保険は一般的に1週間に20時間以上働く人が加入できる制度です。

自分が雇用保険に加入しているかどうかは、給与明細を見てみましょう。

雇用保険料が給料から天引きされているようであれば加入しているでしょう。

給与明細を無くしてしまった場合でも、ハローワークに行くと調べてもらえます。

(ハローワークに行く際は身分証明書を持参しましょう。)

 

よかった 雇用保険料が天引きされている。

と思った方ももう少し確認が必要です。

全員が失業保険(「基本手当」、「高年齢求職者給付金」)をもらえる訳ではありません。

退職理由、雇用保険に加入している期間によってもらえるもらえないが変わります。

 

長くなってしまったので、②に続きます。

 

※この記事は2022年6月現在の法律に基づいて記載しています。



退職したい…保険、税金はどうなるの?

こんにちは。人事労務のお仕事を担当してはや数年のLunaです。

 

転職したい、少し休みたい…

誰もが考えたことがあるのではないでしょうか。

 

これまでは生涯にわたってひとつの会社で働き続けることが一般的でしたが、

時代と共に転職も当たり前になってきました。

 

退職を考えたときに不安に思うことは様々です。

お金のこと、次の仕事はあるのか、家族の同意は得られるのか、、、

その中でも保険や税金関係について、少しでも知って安心してもらえたらと思います。

 

このブログでは、

①失業保険ってどんな制度?

②保険証はどうなるの?

③税金はどうなるの?

④確定申告が必要と聞くけれど本当に必要なの?

について、次の記事から具体的に内容をみていこうと思います。